
輸送包装の課題に対応
(画像は公式サイトより引用)
ダイナパックは2025日本パッケージコンテストで、包装技術賞2点、部門賞2点の計4作品が受賞した。包装技術賞(テクニカル包装賞)を受賞した「ころピタカートン」は、0201形ケース荷姿の‟ころころ感”を解消した。梱包ラインでは荷姿を安定させるため、0201形ケースを段違い罫線箱に変更する場合が多いが、製造工程費のアップ、圧縮強度の低下が生じ、これを補填するため材質のグレードアップを行うと、箱の単価が大きくアップする。そこで、0201形ケースの不安定さの解消を追求。外観上の中央付近の盛り上がりだけでなく、箱の中で内フラップが内容品を持ち上げた状態にすることが、‟ころころ感”の原因と特定し、これらの原因を抑制する構造を開発し、段違い罫線箱を0201形ケースに置き換えることを可能にした。
同じく包装技術賞(ロジスティクス賞)受賞の「カゴメトマトジュース 食塩無添加200mlデザインBOX(アスクル・ロハコ限定)」は、EC限定商品の箱のデザインを改良。外装に成熟トマト、内側にトマトが種から育つ様子を表現し、ジュースを飲み進めるとイラストが現れる。開封部分内側にもトマトが転がり出てくる様子を表現した。通常品が24本入りのところ、同BOXは30本入りの大容量とし、配送効率もアップしている。
部門賞(輸送部門賞)を受賞した「破れにくい手掛け穴」は、一般的な長円形の全開手掛け穴と比較して、水平方向の引っ張強度が20%以上向上。トラック荷室などで箱を横方向に引っ張ると、手掛け穴にかかる負荷で破損するケースがあったが、破れにくい形状に変更し、輸送時の安全性が向上した。また、手掛け穴の破損対策として箱の材質を強化したり、補強部材を追加したりする必要がなくなり、資材の削減にも貢献。形状は上下対称で、上側・下側のどちらに手を掛けても高い強度を発揮する設計となっている。
電機・機器包装部門賞の「電子ピアノの環境対応包装」は、オーストラリアやEUなどのプラスチック規制に対応するため、梱包に使用していた石油由来のEPS緩衝材をパルプモールド緩衝材の変更。これにより、1梱包当たりのCo2排出量を35%削減した。
電子ピアノのような長尺で重量のある機密機器へのパルプモールド緩衝材の採用は、構造的な弾力性と成形性の限界から難しいとされてきたが、パルプモールドの構造設計を工夫し、輸送時の衝撃から製品を保護できる強度を得ることができた。
(包装タイムス2025年9月22日より引用)