植物由来のアップサイクル 籾殻配合で環境負荷を低減
(画像は公式サイトより引用)
資生堂が海外市場で展開している「WASO(ワソウ)」シリーズが2022年日本パッケージングコンテストでジャパンスター賞の日本パッケージデザイン協会賞を受賞した。WASOは肌の状態を内側から改善するだけでなく、持続可能な未来をサポートするクリーンでサステナブルなパッケージの製品づくりを目指している。同商品は日本らしさをイメージしパッケージには廃棄物や環境負荷を最低限に抑えるため、素材にアップサイクルマテリアルとして米の籾殻を配合した。
同商品は2019年秋に企画を開始。21年夏に販売を開始した。パッケージはジャー容器とチューブ容器の2種類。容器のキャップ部は内側と外側の二つのパーツで構成されている。外側のパーツには籾殻を30%配合し、石油由来樹脂を削減した。パッケージの素材にはPPと相性がよく、農作物をイメージできる籾殻を選んだという。本来、廃棄されるはずの籾殻を利用することで、アップサイクルパッケージが誕生した。
ジャー容器は長期間使用出来るようにレフィル方式を採用。レフィル使用により、本体重量比89%のプラ廃棄量削減を実現した。ジャー容器本体の原料にはメカニカルリサイクルPETを使用。これはPETボトルなどを粉砕、洗浄した後に高温で溶解、減圧、ろ過を行い、再びPET樹脂に戻したものだ。
同商品のキャップ部分はPPと籾殻を配合しているため、開発段階でPP単体と比較し、成形時の収縮率や物注の変化、吸湿による寸法の変化があったという。この課題解決のためプロトタイプを用意し、温度や湿度の変化を加えるなど、十分な検証を行った。また、もみ殻を配合したことで発生した籾殻特有の匂いが内容物に移らないよう注意したという。
開発を担当したブランド価値開発研究所の佐々木剛氏は「リサイクルには今までもこれからも取り組んでいく。そこから発展し、今回アップサイクルパッケージを生み出せたのは大きな取り組みだ。本来廃棄されるものに新たな価値を加えるアップサイクルには、素材をそのまま生かす特徴がある。アップサイクルは国内外で注目されており、それにマッチしたパッケージになった。原料にする際にエネルギーを必要としないため、さらに持続可能な再利用の手法を取り入れている」と話した。
包装タイムス2022年11月21日引用