
ロボットと荷崩れ防止を連動
(画像は公式サイトより引用)
A&Cサービスは、昨年10月のTOKYOPACK2024で、水溶性接着剤を使用した荷崩れ防止方法を提案した荷崩れ防止方法を提案し、大きな反響を得た。グルー塗布ノズルと供給装置が一体化した塗布装置「グルーマスター」は、パレタイザーへの後付けが可能。ストレッチフィルム削減に寄与すると期待される。
同社は16年、エアコンプレッサー大手のアネスト岩田のグループとして設立し、コンプレッサーの修理や接着塗布装置の販売などを主力事業としてきた。22年4月から事業の拡大を図り、塗布技術を応用した荷崩れ防止装置の開始した。
同社の亀原信和社長は開発に際し、パレタイザーとの連携を検討。20年に低全高・コンパクトのロボットパレタイザーを上市したスター精機と連携し開発を進めた。
「グルーマスター」は水溶性接着剤「パレタイズグルー」を段ボール箱の底面4カ所の塗布する装置。同接着剤は水平方向の接着力が強く、輸送時の振動や傾きによる荷崩れを防止する。垂直方向への接着力は弱いため、荷解きなど取り外しは容易。大半のパレタイザーが、被梱包物を上からつかむ上面吸着方式なのに対し、同システムは接着剤を下から塗布する底面塗布方式を採用(特許出願済)したのが特長。底面塗布方式は接着剤の飛散が課題となるが、段ボールと接触してもキズが付かないブラシ型のカバーを考案し、解決を図った。提供するスター精機の「スマートロボットパレタイザー」は、高さ2mの底全高タイプで、設置スペースを抑えることが可能。
TOKYOPACKで「グルーマスター」を正式にリリース。‟ストレッチフィルムの削減”を掲げ、200件の引き合いを得た。食品・日用品のメーカーや、商社、システム開発企業から高い関心を寄せられたという。
亀原社長は「SDGs対策はもちろん、コスト削減や安全衛生面からもストレッチフィルム削減への期待は大きい。人手不足が深刻な現在、作業環境の改善ニーズは高く、当社の装置には追い風になっている」と話す。ストレッチフィルムを削減する手法としては、ホットメルトを使用した装置も選択肢になるが、同社では「グルーマスター」の優位性に自信を持つ。接着剤および装置が安価に提供でき、高熱で使用するボットメルトより安全性に優れ、メンテナンスが容易なことなどが、その理由だ。
「水溶性接着剤もパレタイザーも既存の技術だが、二つを合わせたものは世の中になく、そこに商機があるとにらんだ。装置の採用には、物流環境に応じた接着剤の選定や実証テストが必要で、時間はかかるが、ユーザーの期待に応えていきたい」と、亀原社長は意欲を示す。
(包装タイムス2025年5月19日より引用)