食品ロス削減に向けた紙の普及へ
(画像は公式サイトより引用)
ペーパルによる、食品ロス削減に貢献する紙の開発・販売が話題だ。昨年9月にはオイシックス・ラ・大地と協業開発した廃棄される食品をすき込んだ「vegi-kami(ベジ紙)にんじん」の販売を開始し、普及拡大によってさらなるフードロス削減を目指す。
同製品は、オイシックスが展開するミールキット「Kit Oisix」製造工程で発生するニンジンの皮を細かく砕き、パルプと均一に混ぜ合わせて作った洋紙。ニンジンの質感を残した上で、印刷・加工性も兼ね備えた素材を目指して開発し、表面にはほのかなオレンジ色のつぶつぶが見える。
デザインとも合わせやすく「絶妙な配合になった」と開発を担当したペーパルの矢田和也氏は安堵の表情を見せた。均一でない下地が味わいを深める要素にもなり得る。すでにオイシックス製品のパッケージやリーフレットでは採用が始まっている。
ペーパルには、このほかの素材でも開発の引き合いが寄せられているという。矢田氏は「最初に作った『Kome-kami(コメ紙)』がきっかけになっている」と話す。
コメ紙は、自治体・企業やフードバンクから、廃棄される米や非食用の米を集めて、すき込んだもの。売上の1%がフードバンクに寄付される。食品の廃棄そのものに加え、廃棄にかかるコストも抑制できるため、SDGsに貢献できる製品として、さまざまな業界から注目されている。
ベジ紙と同様に加工性、厚みの種類など汎用性の高さと、原料を排出した事業者でなくとも小ロットから購入できる点が高い評価の要因の一つだ。日本国内の年間のフードロスは、634万トンとされるが、加工や流通段階で食用として使えなくなってしまうものや非可食部分は含まれていない。
矢田氏は「コメ紙やベジ紙が広く普及すれば、ロス削減とフードバンク支援をさらに加速させていける」と熱く語る・そのために使いやすさを追求した。「包装メーカーなどでも扱っていただいて、つながりを拡大していきたい」と呼び掛けた。
包装タイムズ2023年2月20日引用