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プラ環境協 備蓄食品包材でLCA評価 プラ包材は6~8割環境負荷削減効果

プラスチック循環利用協会(和賀昌之会長)は機能性包装が適用された備蓄食品の環境負荷削減効果に係る定量的な分析を行ったところ、環境負荷(GHG排出量)で6割から8割近く削減効果を得られたとする調査結果を「プラスチック製食品包装の環境貢献に関する調査研究報告書」としてまとめた。

同協会では、2015年度と16年度に生鮮食品、17年度と19年度は加工食品を対象に、プラスチック製食品包装(以下プラ製食品包材)についてLCA手法を用いて環境影響評価を実施してきた。今回の調査では、災害備蓄食料に注目し、長期備蓄可能な食品に係るプラ製食品包材の環境負荷削減効果を評価した。

同調査研究では、災害備蓄食料に関する報告書(MICI)に示された備蓄期間終了後の有効活用と廃棄の割合に基づき、備蓄食品として販売されている中からアルファ米とクッキーの2品種を取り上げ、備蓄から賞味期限までの消費シナリオを「機能性包装」と「一般包装」に適用し、LCAを実施した。

その結果、機能性包装食品の環境負荷削減効果が高いことを明らかにすることができた。備蓄食品(アルファ米、クッキー)について、機能単位とした1年分相当の消費シナリオを機能性プラスチック包装および一般包装に適応適用した場合、環境負荷(GHG排出量)は賞味期限の1年の一般包装品の負荷を基準として、アルファ米は機能性包装製品において賞味期限3年の場合、57%の削減効果、賞味期限5年の場合、74%の削減効果となった。同様にクッキーについては機能性包装製品において賞味期限3年の場合、65%の削減効果、賞味期限5年の場合では79%の削減効果であった。

さらに調査では、日本全体に備蓄されているアルファ米とクッキーの総量(推計)に基づき、全ての包装を賞味期限5年の機能性包装製品に置き換えた場合のGHG削減貢献の可能性量は、約5万7000tーCO²eと推算。
また、備蓄食品において推奨されている備蓄長を最低3日分について、1日あたりの備蓄量をアルファ米2食、クッキー1食の組み合わせを適用すると、日本全体でのGHG排出削減の可能性量推計は、約14万tーCO²eと推算している。
この結果から同報告書では、社会的に欠かすことのできない災害対策物資に関わる備蓄食品において、プラ製包材が提供する環境負荷削減への貢献を示すことができたとしている。

 

2021年5月24日包装タイムズ引用