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食べられるスプーンが好調

(画像は公式サイトより引用)

社員食堂などの運営を手掛ける勤労食は、食べられるスプーン「PACOON(パクーン)」の展開を加速している。プラスチック削減の目的のイメージが強類似品とは一線を画し、食育の観点から商品開発に着手。個包装は持ち手部分を残して開封でき、パッケージにも衛生的に配慮する同社ならではの工夫がうかがえる。

1968年創業の同社は、愛知県の自動車製造関連企業や自治体の市役所などで従業員向けの食堂の運営を手掛けてきたが、「健康的な食生活の意識や習慣を子どもの時から身に着けることが重要」という思いから、食育に関する事業をスタート。食育と環境配慮を提案できる商品として「PACOON」の開発に着手し、2020年に販売を開始した。

ラインアップは定番が「おから」「ビーツ」「抹茶」「いぐさ」「かぼちゃ」の5種類で、小麦粉、卵、砂糖などで作る生地に各素材をパウダー状にしてブレンド・成形する。

食育としての観点から原材料は国産にこだわり、着色料、香料、添加物は不使用。各地の特産品を活用したオリジナルフレーバーの開発にも力を入れており、特産品PRや規格外品や廃棄食材などを活用したフードロス対策としても引き合いが増えている。

商品はいずれも個包装され、バラ品ではオリジナル印刷でのノベルティ利用、5本・10本・20本入りは小売店での販売、50本・100本・200本は入りは飲食店向けなど、業態や用途に応じて選ぶことができる。導入する飲食店からは「使い捨てカトラリーを有料化するのは心苦しいが、PACOONならメニューの一環として提供できる」という声も寄せられているという。

衛生性に配慮する本業ゆえのこだわりは、パッケージにも表れている。個包装の紙製の袋は、スプーンの持ち手の部分だけ残してカットできる位置にミシン目を入れた。屋外などで食べる際、手を洗えない環境でも安心して使える設計のため、特に個人の購入客ではアウトドアに利用する人も多いという。

この利点を生かして昨年1月の能登半島地震の被災地への寄付も行い、現在は1年の賞味期限を今後は賞味期限延長の検討も進めながら、防災品としても提案を広げたい意向だ。

 

(包装タイムス2025年1月27日より引用)

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