
切断面の美しいスリッター
(画像は公式サイトより引用)
林鉄工所は、超鋼1枚刃を使用した段ボール用オートセットスリッター「SPAT-2400」を開発した。コルゲータと同じ刃物による自動位置決めロータリースリッターで、切断加工の品質が向上し、小ロット受注に対する迅速対応や在庫シートの有効活用などに役立つと注目される。
スリット用の超鋼1枚刃は5セット備え、高速切断することで、表層割れや段つぶれすることなく切断面がきれいに仕上がる。刃物寿命は約2年、交換した刃物を再研磨すれば新品同様に使用できる。仲山徳崇社長は「コルゲータと比べて容易に停止して交換できるため、あえて自動研磨装置を付けず、再研磨で対応して長寿命を図った。2~3回は研磨でき、予備刃を用意して連用すれば、10年くらい長持ちするのではないか」と話す。再研磨については、近畿刃物工業と連携している。
横罫線(スコア)は2軸ロールで計8セット、罫線間隔の制限がなく、狭い間隔でも一度に加工できる。0201系(A式)ケースの前加工ほか、罫線入りパッドなども生産可能。標準仕様の最大通紙幅は2400㎜、最大カット幅は1985㎜(1丁取り時)、最少カット幅は115㎜、最小流れ寸法は300㎜、段ボール厚さ2~9㎜(Aフルートまで)に対応する。搬送速度は最大毎分90m。
製品寸法などはタッチパネルで入力し、約20秒の操作で完了、刃物と罫線の全自動位置決めは約15秒、合計35秒でセットアップを終えられる。番号で約1千点の寸法を登録可能な記憶装置を搭載し、リピートオーダーの場合はセット時間をさらに短縮できる。オペレーターの負担を軽減する通し枚数のカウンター機能があり、故障やトラブル時に機械を停止させて原因をタッチパネルに表示するアラーム機能も備えている。また、給紙側のフレームがスライドする構造なので、刃物交換などのメンテナンス作業が安全かつ確実に行える。
同社のオートセットスリッターは約25年間で累計140台以上を出荷している。好評を得てきた性能や操作性は踏襲し、さらなる品質要求に応えた。1枚刃スリッターは3層強化段ボール用で8台の出荷実績があるものの、一般段ボール用に採用するのは初めて。
このほか、同社では段ボール用函用の新型セミオートグルアを開発しており、今後も顧客に寄り添った機械を自社設計している意向を示す。
(包装タイムス2025年11月17日より引用)