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モノマテ化の普及を推進 袋のバリア性と強度に自信

(画像は公式サイトより引用)

包装資材メーカーの藤森工業は、洗剤や化粧品の液体向け「PE単一素材詰め替えパウチ」の量産化に成功した。袋のバリア性と強度にこだわり、使用後もリサイクルしやすいパウチの製造を行う。環境に配慮したパッケージとして、単一素材パウチの普及を推進していく。

異なる性質を持ったポリエチレン2層を重ねて、従来の詰め替えパウチと同等の強度を実現している。外側の層は熱に強く、伸び縮みしづらいものを使用。流通時の衝撃に耐えられるように、内側の層は強度面を重視した。

内容品からの水蒸気やにおいに対するバリア性にも着目した。事業企画部長の河原寛之氏は「ポリエチレン単体だと製袋の融点がほかの素材と比べて低く、シールの温度を上げづらい。製袋条件を単一素材に合わせて変更した。工程の回数や時間の調整に苦労した」と開発当時を振り返った。

従来の詰め替えパウチは、材質の異なるフィルムを貼り合わせた複合素材でできており、素材ごとに分離することが難しく再生材料としての用途が限られていた。この課題解決のため、同社は2008年に当時は難易度が高いとされていた単一素材の液体向け詰め替えパウチの開発に着手。21年に製品化に成功した。

流通により、同社独自の単一素材包材ブランド「MONOSOLUITIONS(モノソリューションズ)」を立ち上げた。単一素材化は今後の環境配慮設計のキーポイントになると考え、ブランド化として単一素材化の方針を対外的に発表し、業界をリードしていきたいという。

産業包装営業部長の釣谷真孝氏は「循環型経済に向けて、パウチtoパウチのリサイクルを目指す」と話す。使用済みパウチを回収し、ポリエチレンフィルムを戻すことが最終目標だ。ブランドオーナーや自治体などとの連携を重視し、単一素材の母体数を増やして循環促進を進めていく。

また、海外のプロモーションも拡大する。現在のパウチの海外生産拠点は、アメリカ、タイ、インドネシアに展開している。特にアメリカは、単一素材化に対する温度感が高いという。

事業企画部アシスタントマネージャーの村田知栄子氏は「アメリカではHow2Recycle(ハウトゥリサイクル)のガイドラインが日々検討されている。将来的には当社のパウチをこのガイドラインに組み込めたら」と意気込んだ。講演会や展示会を通じて、外部への発信強化に努める。

同製品は「2022日本パッケージングコンテスト」のジャパンスター賞となる経済産業省産業技術環境局長賞を受賞するなど、高い評価を得ている。なお「MONOSOLUITIONS」は同社の商標登録。

包装タイムス2022年11月28日引用