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既製品の紙袋にカラー印刷

(画像は公式サイトより引用)

山元包装紙社は、ものづくり補助金を活用して4色水性インクジェットプリンターを導入し、2023年から新サービス「簡単カラープリント」を開始している。既製品の紙袋(手提げ袋)にフルカラー印刷を施すことで、小ロット・短納期への対応力が大きく向上した。

従来のカラー表現はオフセット印刷で、最低ロットが1千枚程度から、印版の作成や後加工などで納期もコストもかかっていた。既製品にロゴなどを名入れする方法もあるが、1~2色のシルク印刷や箔押しなので、濃淡の表現などはできない。

簡単カラープリントでは、上質紙系の既製品(表面加工品は不可)を使い、写真などのグラデーションも再現。最低ロットは100枚から、1~2週間という納期を実現した。特に急ぐ場合を除き、テスト印刷をした現物が1部送付されるので、本製造前に色や品質を確かめられる。また、商品ごとにデザインや色、あるいは店名などの文字情報を変えて印刷しても版代がかからず、合計枚数の単位で作成できるため非常に経済的といえる。

導入したIJPは、インクヘッドの高さが調節可能で、安価な和転紙袋の波打った表面にも鮮明に印刷。紙袋には紐が付き、紙の折り重なった部分があるものの、通しに問題はない。印刷範囲は制限されるが、小型の紙什器や組み立て紙箱、パルプモールド容器、ミニ米袋などにも印刷でき、製袋前のシートで印刷すれば前面デザインにも対応するという。

同社では、廃棄される素材の混抄紙「kome-kami」(米)や「vegi-kamiにんじん」「小豆殻CoC」「CRAFT BEER PAPER」(ビールモルト粕)など、環境配慮型の紙袋も展開している。これらの既製品に、環境負荷が小さい水性IJPによる新サービスを組み合わせ、、SDGsに向けた提案も進める。

代表取締役社長の山元康平氏は「開始から約1年で徐々に認知され、同業他社と開発協力や印刷テストを行うこともある。後刷りの要望は多い一方、IJPで印刷できる既製品は限られており、対応商品を増やしていきたい。社員同士がアイデアを出し合い、晒クラフト紙にスピンドル紐、ハッピータック(樹脂ハンドル)を付けた規格品を開発してくれた」と教えてくれた。

 

(包装タイムス2024年2月19日より引用)

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