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商品紹介

「全体最適」でガムテープ SDGsの眼点にも合致

世界最大のアメリカの貨物航空会社では、梱包におけるガイドラインの「パッケージの封印」という項目に『粘着テープ、水活性化紙テープ(粘着性:27㌔㌘(60㍀)級以上)、または少なくとも幅5㌢㍍(2㌅)以上の水活性化強化テープをお使いください。』と記載している。
この水活性化紙テープとは、ガムテープのことであり、水活性化強化テープとは糸入りのガムテープを指していることからも、アメリカではガムテープをごく一般的に使っていることが分かる。
またアメリカの政府機関では、9・11同時多発テロ事件以降、梱包物が改ざんされたか否かを視認できるガムテープを推奨しているという。
段ボール箱の封緘にしっかりと貼り付いている粘着テープは、実はドライヤーの熱風を当て続けると簡単に剝がすことができ、その箱から中身を抜き取ったり、あるいは中身を入れ替えて、再封することもできる。
だからこそテロ対策としてガムテープを使うというわけだ。

ところで、第93回アカデミー賞で、作品賞、監督賞に加え、主演のフランシス・マクドーマンドが主演女優賞を受賞した「ノマドランド」に、ガムテープが登場する。
マクドーマンドが演じる主人公、ファーンは自家用車に最低限の家財道具を積み込み、日雇いの職を求めて全米各地を流浪する映像の中に、通販大手のアマゾン(Amazon.com,Inc)の配送センターの場面があり、そこで働く高齢労働者の手にガムテープで封緘されたカートンが映し出された。
実は米国のアマゾンの配送センターでは、早くから手作業で行う段ボールのテープ封緘をガムテープへと切り替えを進めていた。

それまではフィルム製(OPP)の粘着テープで封緘作業を行っていたが、その場合、粘着テープはハンドテープカッターに装着して使うので、腕や手首への負担が大きく、作業労働者の中には腱鞘炎を起こすこともしばしばあった。
そこで、彼らの作業負担を軽減するという目的から、繰り出し機(ディスペンサー)を使ったガムテープによる封緘方式に変更した。
その結果、作業労働者の腱鞘炎問題は解消し、逆に作業性は2割もアップした。
その流れは同社の日本法人、アマゾンジャパンにもきて、国内に30カ所程ある配送センターのうち、11カ所でガムテープ封緘を採用しているという。
包装資材のコスト比較では、OPP粘着テープの方が確かにコストメリットはあるだろう。

しかし、作業労働者の健康や福祉、生活の向上を目的とした福利厚生費という観点からすれば、ガムテープのメリットは大きい。
しかも近年は、企業経営にSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みを組み入れ、推進する動きが加速している。
ガムテープを作業現場に採用することも、SDGs17の目標の一つにある「3.すべての人に健康と福祉を(あらゆる年齢のすべての人の健康的な生活を確保し、福祉を推進する)」という眼目に合致する。
さらに「12.つくる責任つかう責任」の中で、「廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する」というターゲットにも合致する。
また「14.海の豊かさを守ろう」や「15.陸の豊かさも守ろう」という目標をもガムテープはサポートすることができる包材になり得る。
日本では包材の選定を現場サイドで、単に包材だけのコスト比較で評価する、いわゆる”部分最適”で評価していることが多いようだ。
厚生福利の面、またSDGsの観点も加えた”全体最適”から評価することが求められている今日、アマゾンの配送センターにおけるガムテープの採用は、”全体最適”に近いもので、この英断は中長期の目標を持った経営者が下した。
つまりトップダウンで行われたというわけだ。
ちなみにガムテープは、19世紀後半に発明王のエジソンが開発したもの。
まさに”温故知新”の包材だといえる。

2021年9月13日包装タイムズ引用