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重量物を段ボール梱包 工業製品梱包に見る段ボール化

(画像はプレスリリースより引用)

日立物流グループは「2022日本パッケージングコンテスト」で、ロジスティクス賞とデンキ・機器包装部門賞をダブル受賞した。ユーザーが対面する物流外装に見る段ボール化の取り組みを紹介。

日立物流東日本はこのほど、「2022日本パッケージングコンテスト」において、「電動トロリ(以下トロリ)放送のオール段ボール化」で電気・機器包装部門賞を受賞した。同社は従来、重量のあるトロリを木材の内装材で保護した後、段ボールに納めていた。この内装材を、特殊な構造で強度を確保した強化ダンボールに変更。木材使用量を100%カットし、材料費を従来比で20%削減することに成功した。

トロリは、工場などで天井から吊り下がっているクレーン(ホイストクレーン)を支える機械だ。天井に張り巡らされた鉄骨(I形鋼、H形鋼)を伝って移動し、クレーンを用いた荷役に使われる。

トロリの歴史は古いが、あまり形状に変化がないという。そのため同社が行ってきた梱包形態も変わることがなく、長年木材が用いられ続けてきた。

段ボール化の取り組みは、2021年末ごろに始まった。梱包資材の改善会議で、環境配慮への取り組みが議題になり、その一環としてトロリの梱包へ白羽の矢が立ったという。そこから約半年をかけ、内装材段ボール化の検討が始まった。

とはいえ課題もあった。強度問題という段ボール梱包に付き物の課題だ。特に改善の対象となっているトロリの重さは4キロになる。木材による梱包は、固定と強度確保の双方を担っている。そのため、仮に段ボールが衝撃試験をクリアしても、実際の運用・保管に耐えられるか、という懸念があった。

同社の鈴木隼氏は、強度を補うために試行錯誤を繰り返したと語る。作業性を維持する必要もあり、試作品を作っては現場に持ち込むことを繰り返した。

たどり着いた梱包は、内側は八角形、外側は四隅に三角柱型の空洞を持つ四角形となる内装材を利用した梱包だった。

内装材は、2枚のフラップを持つ段ボール板を二つ組み合わせた構造だ。フラップの根元に左右から切込みを入れ、フラップになっていない側を、八角形になる用折り曲げて組み合わせる。最後にフラップを逆折りして固定することで、縦方向の衝撃に強い構造2種類を、2枚の段ボール板で両立した。八角形の側面は二重になっており、形状と併せて、さらなる耐圧機能の向上に貢献する。

鈴木氏は他製品で利用されていた梱包法から着想を得て、この構造を開発した。同氏は受賞について、「日々の業務で蓄積されたノウハウから生まれたものが評価され嬉しい。モチベーションにつながる」と顔をほころばせた。

また、同じく担当者の市野沢朋貴氏は段ボール化について、「顧客との信頼関係が、段ボール化を提案できるかの重要な部分」と指摘し、「環境配慮と顧客の要望を両立したい」と意欲を見せた。

包装タイムス2022年12月12日引用