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2021年業界展望 容器・シート編

2021年1月1日・4日号引用

食品容器市場動向
過渡期にあるテイクアウト

期せずして急伸長したテイクアウト・デリバリー関連では、当初は市場に適したうつわが少なく、まずは手に入りやすく、低コストかつ汎用性のある製品に需要が集中した。
混乱が一応の落ち着きをみせた頃からは、機能性に特化した容器が求められている。

容器メーカー各社では、かねて他分野で培ったノウハウを生かし、保温・保冷性やレンジ対応、持ち運び適性、嵌合に特徴を有する容器など、独自色のある製品を次々と投入。
とりわけ、汁漏れに配慮した中皿容器、仕分けにこだわらず使えるフードパックなどがヒットした印象だ。
紙、パルプモールド、木など、素材でエコ意識を訴求する製品も一部で伸長したが、やはりプラ製品ならではの機能性には手堅いニーズがある。

こうしたアイテムの多くが、無地モノトーンやクラフト調、中身をあえて見せない折蓋式など、従来の弁当容器の定番とは一線を画したデザインである点も特筆したい。
だが、ここにきて新規開発には一服感もある。
さらなる需要創出へ、飲食店の差別化につながる先進的なアイディアが望まれる。

スーパーマーケット向けはおおむね堅調。
だが、汎用トレーや嵌合フードパックなど、出荷数に対し利益を生みにくい製品が中心のようだ。
主に生鮮部門の需要増、バイキング形式からの以降など総菜の個包装化に伴う動きで、パンなどの店頭陳列を行う業態でも同様の傾向がある。今後は、作業効率や商品訴求力向上といった潜在ニーズを引き出し、高付加価値製品への転換に挑む必要がありそうだ。

今後期待したいのが、コンビニエンスストアの復調と発展だ。
客足を引き付けるべく”巣ごもり””個食”をにらんだ商品開発が活性化しており、下支えする容器メーカーの役割は大きい。
近年売り場拡張が進んできた冷凍食品の伸びしろにも視線が注がれる。

容器業界のマーケットの一つである観光・みやげ業、外食産業においては、政府による「Go To」のような政策にも注視すべきだろう。今も収束は見通せない中、営業を継続する上で必須となるフェイスシールドや衝立のような”感染対策”アイテムを提案し、活性化を支援するメーカーも少なくない。
他方、外出自粛によりEC販売がますます浸透し、ギフト・お取り寄せ需要がじわりと広がっている点にも注目だ。

さて、コロナ禍で包装、とりわけプラスチック容器に対する価値にも”革命”が起きた。
だが、決して環境への問題意識が薄れたわけではない。
メーカー各社によっては、リサイクル、バイオマス、樹脂、薄肉軽量化など製品そのものの進化に加え、事業活動全体で取り組みを推進し、消費者に対する発信へと、長期的に向き合っていかねばならない。
着地点は遠く見通せないが、いずれ何らかの形に収まることは間違いない。
人々の食生活を支えるメーカー各社においては、顧客への安定供給が何より重要だ。
社会に必要とされる存在として、市場のさらなる成長に向けた継続的な取り組みに期待したい。