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紙製「プチプチ」が評価獲得

(画像は公式サイトより引用)

気泡シート「プチプチ」の製造販売を行う川上産業が製造する「かみプチ」が、2023日本パッケージングコンテストで適正包装賞を受賞した。

封筒の内側に貼られたプチプチ状の紙で緩衝性機能を発揮しながら、そのままリサイクルできる緩衝封筒だ。プチプチループリサイクルで資源の循環に取り組む同社の新たな環境配慮・海洋プラ対策製品として評価を獲得した。

主に樹脂製の気泡シートを手掛ける同社の紙製品開発は、商品開発部の発案から始まった。同部の油井雅光氏は20年ごろ、脱プラの風潮やプラへの逆風に強い危機感を覚えたという。同社は積極的な資源循環社会の構築に取り組んでいるが、消費者のリサイクル意識も高まっている現在、一目見て環境配慮商品と理解してもらえることも大切と考えた。

紙を利用したプチプチの発送は元々あったものの、開発には至っていなかった。油井氏らは社内の提案制度を利用し、承認を得て開発に取り組んだ。

開発にあたり、リサイクル可能な素材と「プチプチと同じ形状であること」にこだわった。ワンウェイに用途をしぼり、緩衝性能を発揮しながら気泡の形を成形する方法を模索した。「プチプチメーカーとして違う素材でもプチプチを提供したい」そんな使命感があった。

当初はプチプチと同じ成形方法を取っていたが、素材の強度が足りなかった。最終的に段ボール製造時の蒸気を利用する工程か着想を得て、クラフト紙のみで気泡の成形に成功した。

このクラフト紙製プチプチと封筒を組み合わせたのが緩衝封筒「かみプチ」だ。衝撃試験や、本やCDなどの軽量物を実際に発送して性能を確認し、販売を開始した。

同社東京営業所所長の伊澤洋一氏は、発売後の手応えを「多くの引き合いが来ている」と語った。サプリメントメーカーやアルバムを印刷する製本会社などから引き合いがあり、BtoCでの用途を主眼に訴求を進める。

現在は関東限定販売だが、西日本からの関心も高く、今後は量産の準備をしながら販路拡大を進めていく。またロール状態で購入したいとの声にあるといい、「今後は用途を検討しつつ販売方法も模索していきたい」とした。

 

(包装タイムス2023年10月23日より引用)

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