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【食品容器市場動向】 変化続く食マーケット新需要獲得へ競争は激化

巣ごもり需要が一服したスーパーマーケットでは、消費者の”自炊疲れ”により生鮮品から惣菜へニーズがシフトするとともに、味・品質のレベル向上を図る動きが加速している。
店頭に並ぶ容器も、白トレーや透明フードパックから、「専門店化」「手作り感」を訴求できるものへと移行した。
見栄えを引き立てる形状やこだわった色柄など、高付加価値化につながるデザインに加え、プロセスセンターでの集中生産や、スチコン活用など、変化する製造オペレーションに最適化した機能も求められている。
テイクアウト・デリバリーは新たな食生活に定着。
戦略的施策を進める飲食チェーンでは、中皿やレンジ対応などの機能を持ち帰りならではの商品づくりに活用する例も増えている。
一方、中小飲食店ではいまだコスト最重視の感が否めず、選ばれる容器は「定番化」している印象だ。
顔の見えない飲食店オーナーにも、差別化に貢献する容器の”可能性”を示せれば、まだまだ潜在ニーズは掘り起こせるだろう。
人流制限の影響を受けたコンビニ業界も、PB刷新や店内調理の導入、チルド弁当へのこだわり強化など、時代に合わせたビジネスモデルへ変革が進む。
また、都市型スーパーや新業態店舗の増加、かたや”スーパー化”するドラッグストア、ディスカウントストアの躍進も見逃せない。
そうした中、注目度を高めているのが”冷凍”だ。

 

食品ロス低減や鮮度感の維持など、新たな価値を生む冷凍技術への期待から、コンビニやスーパーでは販売強化に取り組む動きがある。
withコロナに挑む駅弁業界や飲食業界も、積極的に冷凍事業へ着手。
これにECや冷凍自販機などの販売手法も乗算され、冷凍ビジネスはいよいよ活況だ。
容器メーカーはハイスペックな冷凍対応製品を供給すべく、虎視眈々と取り組みを進めている。
さて、今年は容器業界が改めて「SDGs」に向き合う時機となるだろう。
4月施行予定の「プラスチック資源循環促進法」では、まずはカトラリーなど12品目の削減が焦点となるが、環境配慮設計指針の着地点など引き続き注視が必要だ。
もっとも、すでに容器メーカー各社は、製品の薄肉軽量化は当然のこと、バイオマスやリサイクル、または紙など、それぞれの信念と方向性をもって開発に注力している。
長期的には新たなリサイクルスキームの”共創”を目指す動きもある。
今後は、消費者への訴求もポイントの一つになりそうだ。
スーパーでは環境配慮への取り組みが急加速しており、店頭でバイオマスプラ容器を前面に陳列、リサイクルトレーの活用をパネル掲示する店舗も一部で見られる。
コンビニ大手も、環境配慮型包装の採用や紙化を大々的にアピールする動きがある。
こうした流れに追従すべく、容器メーカーでは各種認証マークの取得や、製品への刻印・表示などの対応を急いでいる。
加速度的なニーズの高まりに乗じて領域を広げるには、価格的ギャップの解消のみならず、ターゲットとなるユーザーの”価値観”に合わせた提案も重要となる。
単なる「脱プラ」ではなく、SDGsにも関わる「多様性」「食品ロス」「健康志向」といったトレンドワードを結び付けることが、突破口となりそうだ。
豊かな食生活につながる容器とは何か。
マーケットが求める答えを模索し、絶えず提案していく必要がある。

 

2022年1月3日包装タイムス引用

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