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廃材を利用した工作キット

(画像は公式サイトより引用)

高木包装のグループ会社であるパックインタカギは、2022年頃から段ボールの付加価値向上を目指し、さまざまな企画提案を行っている。現在は、段ボール製品の廃材を利用したサステナブルトーイ「SDKids(えすでぃーきっず)」と遊びを通して地元ゆかりの相撲文化を発信する「段DAN相撲」を中心に事業展開している。

「SDKids」は、段ボールの打抜き加工後などに発生する多様な廃材をランダムに詰めた創作工作キットだ。誕生のきっかけは、ある企業が同社段ボール工場の見学に訪れたこと。「一緒に来ていた子供は、古紙として回収される段ボール端材の方へ駆け寄り、手に取って宝物のように眺める姿を見て商品化を考えた」と企画営業所の杉本智史所長は振り返る。

大きさ厚さ、形などが異なる段ボールを材料とし、完成図などは用意されていない。根幹は「作るものを自分で考えて創造力を養う」(杉本所長)。大阪・関西万博の共創チャレンジにも登録し、90社余りの賛同を得た。

段ボールというリサイクル素材を通じて資源循環を学び、道具を実際に使ってハサミなど刃物の危険性も体感、子供たち同士で共感するコミュニケーションツールとしても活用が期待される。昨今、希薄になりつつある部分に着目し、豊かなアイデアを育んでいく。

「段DAN相撲」は、本社を構える葛城市が相撲発祥の地をPRするのに合わせて開発。昨年に大相撲の宮城野親方(元横綱・白鵬)が市の観光大使に就任し、そこで段ボール製の高さ1メートルの力士が対戦する紙相撲として初披露した。加えて、工作キット化した「段DAN相撲ミニ」を作り、道の駅かつらぎ、平城宮跡、葛城市相撲館(けはや座)などで販売しており、地元共創による訪日客に向け相撲体験ツアー計画に進めている。

昨年には、フランス・パリで開催されたJapan Expo(ジャパンエキスポ)に初出展を果たし、4日間で約2千人が「段DAN相撲」を楽しんだ。さまざまなメディアから取材を受けたほか、幅広い企業や団体、自治体とのつながりを構築、訪日客需要への手応えもつかめたようだ。国内では、地元のイベントや大相撲巡業先、学生相撲の全国大会ほか、東京・両国国技館でブースを構えたこともある。

 

(包装タイムス2024年2月26日より引用)