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SDGsを起点に新商品開発

2021年3月22日包装タイムス引用

某シールメーカーは、サスティナブルを後押しする新製品の開発に力を注いでいる。
先のTOKYO PACKでは、剥離紙の2次利用の提案や、新たなトップシールフィルムを参考出品するなど、「ごみ削減」「食品ロス削減」につながる複数の開発品を発表。
小売・流通業界を中心に、環境負荷低減につながる提案を加速させる。

印字しながら熱シール

「食品ロス削減」の観点から開発したのが、トップシール包装に使う新たなフィルム基材だ。
従来のフィルム基材と違う点は、フィルムの表面全体にサーマル層を形成したところ。
これによって、賞味期限や消費期限、品目、内容物表示などを印字しながら、熱シールをして密封することができる。
着目すべき点は、フィルム全体にサーマル層を形成しているにもかかわらず、熱シール部分のみ”発色しない”ことだ。
仕組みとしては、熱温度の高低によって2色表示できる仕様とした。
感熱塗料の構成を見直すことで、印字部分は「黒」、熱シール部分は「透明」に発色する特性を持たせたという。
TOKYO PACKでは、サーマルプリンタ搭載の半自動トップシール機も出展し、実機実演のもと紹介した。
「同フィルムを使えば、急な表示変更にも対応可能。ダイレクトサーマル方式のため、熱転写インクリボンも不要で、ごみ削減にも貢献する」(同社・山本直人次長)と述べる。

得意の感熱技術を活用

「ごみ削減」の観点では、剥離紙の2次利用が可能なアイデアを発表した。
通常、ラベルの台紙である剥離紙は、使用後、産業廃棄物として処理される。
シリコン塗工やラミネート加工が施されているため、リサイクル回収ができないからだ。
処理費用がかかるうえ焼却処理となるため、環境の視点からも多くの課題を抱えていた。
そこで同社は剥離紙をリユース(再利用)することで、廃棄コストとごみ排出量の削減につなげる方法を考えた。
剥離紙の裏面にサーマル層を生成した新たな基材を開発。
既存のサーマルプリンタによる印字を可能とした。
例えば、宅配便の送り状で使用する場合、普段ならば捨てていた剥離紙を「お客様控」として2次利用することができる。
「要望があれば、剥離紙の裏面(感熱面)に、好みのデザインを刷ることも可能。工夫次第でいかようにも使うことができる」と話し、幅広い用途展開を想定している。
同社では環境問題と正面から向き合い、高度な技術力と新たなアイデアの融合で、SDGsへの貢献を加速させる。