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【2022年業界展望 包装機・関連機器編】新ソリューションで工場現場を支援

包装ラインの自動化・省力化に貢献するシステム需要は2022年も底堅いトレンドが予想される。企業の設備投資意欲は長期化するコロナ禍で二極化の動きも鮮明になりつつあるが、工場現場では感染予防対策や人手不足対応等が喫緊の課題となる中で、それを補う自動化・省力化投資は業種を問わず堅調な動きがうかがえる。
一方でPLCやサーボモーターといった部品の逼迫が顕在化するなど新たな懸念材料も浮上しており、今後の生産体制への影響を含め新年度は一連の動向にも注視が必要だ。
また、できるだけ人手を介さないシステムラインへの要求が国内外で高まる今日、前後工程を含めたトータルでのシステム提案力、さらにはコロナの状況を注視しつつサステナブル包材への対応や、AI・ロボットを生かした自動化システムの活用など顧客ニーズに応じた事業展開が引き続き大きなポイントになるだろう。

トータルでのシステム提案力が鍵、部品不足など懸念材料も浮上

包装関連機器市場を概観すると、2021年は長期化するコロナ禍においても底堅い需要トレンドを示す一年だったと言えそうだ。
コロナ禍での受注案件の先送りや設備投資計画の延期・中止、さらには部品不足といった影響などが少なからずもみられたが、主要ユーザーとなる食品関連企業を軸に工場現場では顕在化する人手不足への対応や感染予防対策の取り組み等が強く求められる中、包装ラインの自動化・省人化をサポートするシステムに昨年も断続的な引き合い・受注の動きが示された。国内では人手不足問題の解決はもちろん、海外地域における人件費高騰への対応、あるいは製品品質・安全性の高度安定化や均一化などを狙いに、できるだけ人手を介さない自動システムラインへの要求はコロナ禍においても健在だ。
市場ニーズの多様化や細分化が一段と進む国内マーケットにおいて迅速かつ柔軟な対応力をはじめ、国内市場では引き続きトータルでのシステム提案力が受注取得の鍵を握る。装置サプライヤー各社では、自社が得意とするコア製品の販売にとどまらず、前後工程を含めたシステムラインをユーザーに提案でき、かつワンストップで提供できる力があるか否かが今年も問われそうだ。またここにきて、半導体をはじめ部品不足の影響が顕在化するなど新たな懸念材料も浮上している。目下、手配先の調整や代替部品活用のための設計変更などさまざまな対応策を講じて一連の難局に取り組むサプライヤーも少なくない。深刻な部品不足の状況が長期化すれば今後の企業実績へのダメージも避けられないだけに、一連の動向が注視されるところ。
一方、内需依存型である日本の包装機械産業にとって輸出拡大は長年のテーマとなっている。コロナ禍で難しい舵取りが求められるが、少子高齢化と人口減少による国内市場の縮小が今後確実に進む中で、海外展開が引き続き大きな課題だ。年末に行った有力企業へのトップインタビューでも、今後のコロナの情勢を注視しつつ欧州や北米市場をはじめ、インド、中国といった海外市場の開拓強化を成長戦略の大きなポイントに挙げるコメントは少なくない。海外のマーケットで着実に存在感を高めてきた日本の包装機器。とりわけ近年アジアの成長市場では自動化・省人化機運の高揚とともに日本の高度な技術力や日本的サービスが現地の市場ニーズを着実に掴んでいる。長期化するコロナ禍において企業活動にも当面は大きな制限が求められるが、海外で事業を展開するにあたり重要なポイントの一つになるのは現地での対応力。
据え付け・メンテナンス業務などを担える現地スタッフが滞在する海外支店を持つ企業や技術力の高い代理店と長年連携してきた企業は、コロナ禍の難しい状況でも比較的柔軟に対応できているようだ。またウェブ等によるリモート提案など新たなビジネルツールの活用も新市場開拓の大きな武器となりつつある。少子高齢化と人口減少で将来的に国内マーケットの縮小が確実化される中、グローバル事業基盤の確立を目指したサプライヤー各社の海外展開の動向が今年も注目される。

AI・ロボットなど広がる活躍の裾野

包装機周辺装置では、産業用ロボットの動向が今年も注目されるところ。ロボットの活用をめぐっては、昨今急速な進化と同時に活躍のすそ野もこれまで多かった非食品分野以外でも着実に広がりつつある。人手不足や原材料費の高騰でコストが増す中、食品工場などでは箱詰めやラベル貼付など従来までの人海戦術による作業をロボットに置き換えるといった動きがここにきて一段と加速しつつある。自動化による生産効率の向上と同時に、安全性や衛生管理など製造現場のニーズはますます多様化しハイレベルな対応が求められている。それだけに生産効率の向上に貢献することはもちろん食品や医薬・化粧品といった厳格な品質管理が要求される製造ラインでロボットを導入するメリットは大きい。
民間調査会社がまとめた報告書などによると製造業向けロボットの世界市場は、2025年に1兆6千億円超にまでマーケットは膨らむと予測する。とりわけ近年は安全柵が不要で、人と同じ空間で作業ができる協働ロボットを包装ラインに組み込んだソリューション提案が増えており、AI(人工知能)の活用など進化と同時に活躍の場も新たな局面を迎えつつある。良質な労働者の確保や多品種少量生産などへの対応が強く求められる今日、人間と同等のフレキシブルな生産システムに対応できることや厳格な品質管理体制が構築できること、またロボット本体がコンパクトでラインレイアウトの自由度に優れる点など導入するメリットはロボット以外の専用の自動機器等と比べても決して小さくはない。
ここにきて工場現場では、生産効率の向上に加え、従業員の新型コロナ感染による休業リスクを低減するために、密を回避した省人化も直近の課題となっている。一連の課題解消をサポートする点でもロボット活用がますます期待されるところ。工場現場の生産性向上や人手不足対策の切り札としてロボットやAIなどを活用した次世代ソリューションの提案・開発の動きは今年一段と加速するだろう。

 

2022年1月3日包装タイムス引用

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